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covid-19

「子どもの心の健康のために」

新型コロナウイルスは子どもの生活に大きな変化を及ぼしており、当然ながら心の健康にも少なからず影響しています。そのような子どもを安心させるために、まずは親をはじめとする子どもの周囲の大人自身が心の健康を保つことが大切です。

子どもも不安やストレスを感じていますが、それを大人のように言葉で表現するとは限りません。甘えるとか怒りっぽくなるなどの行動の変化として表れることがしばしばであり、その表れ方は年齢や発達によっていくらか異なります。行動の変化に注意しながら、子どもの気持ちの理解を図ります。そして、子どもが話しやすい雰囲気作りを心がけて、その気持ちを聞いて受け止めるようにします。共感することに加えて、子どもの適切な行動をほめて自信を持てるようにすることも有用です。

また、子どもに分かるように新型コロナウイルスとその対応を伝えることも大切です。大人が手本となって行動すると共に、子どもの発達に合わせて絵を活用するなど伝え方を工夫します。子どもが適切な対応を身に着けたと感じることも安心につながります。

これまでと生活が変わったとしても、新しい日課を組んで規則正しい生活を行えるようにすることも大切です。その際には、三密を避けるなどの対応をしつつ体を動かしたり家事手伝いなど現在の状況でもできる活動を通した体験学習をしたりして、子どもらしい活動を楽しめるようにします。友達や親戚など子どもにとって大事なつながりを保てるようにすることも支えになります。

以上はすべての子どもに共通するものの、発達障害やそれに連続する発達特性を含めてメンタルヘルスにリスクがもともとある場合、身体疾患のある場合など、一人ひとりに合わせた配慮も必要です。

子どものことやそれに関連した家族のことで悩みを持つ場合には抱え込まずに、児童相談所を含めて地域で相談できる機関を活用しましょう。通院中の場合には、主治医に相談することも一つの方法です。

金生由紀子(東京大学大学院医学研究科 こころの発達医学分野)