学会概要
日本社会精神医学会会員の責任と義務
日本社会精神医学会は,精神障害の心理社会的・疫学的研究と精神科医療の実践に基づいた調査研究を推進し,その進歩・発展・普及に貢献することを目的として,1981年に発足しました。本学会の特徴は関連する学術領域が多岐にわたること,会員の日常活動の場が多様であることですが,その特徴を活かして学会活動を発展させるには,学会員の責任と義務を規定し,それを学会員で共有することが必要と考えられます。このため,理事会では,日本心理学会の倫理規定などを参考に,本学会員が学会員として活動する場合に心得るべきことをまとめました。会員の皆様におかれましては,本学会の倫理規定が整備されるまでの間,学会員として活動する場面において,本規定を参照していただけると幸いです。
平成24年12月9日
日本社会精神医学会理事会
- 社会に対する責任と義務
本学会の会員は,日本社会精神医学会の定款に示された学会設立の目的に基づいて,臨床,研究,教育や実践活動を含むさまざまな領域において,社会精神医学の学際的性質を尊重し,他の学術領域と連携して,社会貢献に努めなければならない。また,会員の立場を利用して,私的な商行為を行ったり,故意に誤った情報を提供したり,社会精神医学の知識の過剰な一般化を行って,人々を欺いたり,混乱させてはならない。
- 個人に対する責任と義務
本学会の会員は,すべての人間の基本的人権を侵してはならない。臨床,研究,教育や実践活動を含むすべての領域において,研究対象となる人々,あるいはともに活動する人々の権利を尊重し,同時にこれらの人々の家族,所属する団体,地域社会に不利益をもたらすことのないように配慮しなければならない。研究を行う場合には,それぞれの学術領域における倫理規定に留意し,研究の全過程を通じて,客観性,公正性を重んじ,偏見や差別のない態度を維持しなければならない。 - 学問に対する責任と義務
本学会の会員は,社会精神医学の研究や実践の発展に貢献することが期待されている。臨床,研究,教育や実践活動を含むすべての活動において,科学的態度を堅持し,真理を探求するとともに,研究のオリジナリティや社会的有用性を追求しなければならない。そのために,自らの専門性を高めるとともに,社会精神医学の学際的性質に基づいた幅広い専門領域から学ぶことに努め,それらの領域の研究,教育,実践活動に敬意を払い,協力して学問に対する責任を果たさなければならない。