一覧はこちら

covid-19

「統合失調症の方へ」

多くの方がコロナ禍における生活の大きな変化に困惑しておられることと思います。統合失調症の患者さんの生活について考えると、おもに以下のような変化が皆さんの心身の健康に影響を与えているのではないかと考えられます。

①日中活動の場が奪われていること
現在多くのデイケアや就労支援施設、地域生活支援センターなどがお休みになったり、活動日数や活動時間を減らしています。就労した方の中には、自宅待機やテレワークとなってしまった方もいらっしゃるでしょう。そのため、生活リズムを整えることが難しくなったり、日中の活動量が減るなどの悪影響が考えられます。起床・就寝時間をきちんと守る、決まった時間に食事をする、毎日身体を動かす習慣をつける、といったことを心がけましょう。現在はなるべく自宅にいることが求められていますが、人混みを避ける、マスクをする、帰宅後はきちんと手洗いをする、といったことを徹底すれば、近隣の散歩などの運動は心身の健康や良い睡眠のためにも望ましいことです。

②同居されているご家族と接する時間が増えていること
ご自身だけでなく、ご家族も在宅勤務になったり、休校になったりしてご自宅で過ごされる時間が増えています。どんなに仲の良い家族でも、四六時中顔を合わせているとお互いの言動が気になってきて、些細なことでぶつかってしまうものです。それぞれが自分の好きなことをして別々に過ごす時間を持つように心がけたり、家の中でも適度な物理的距離を取ることも必要です。

③仲間や支援者との関係が希薄になっていること
外来受診の間隔が空いたり、デイケアなどに行けないことによって、いつも相談に乗ってもらっていた主治医やスタッフと会う機会が減っていると思います。なにか心配なこと、不安なことがあったら、電話などの手段で相談することもできます。我慢せずに支援者と連絡を取るようにして下さい。

上記に加えて、入院中の方は面会が制限されてご家族と思うように会えなかったり、外出や外泊がいつものようにできなくなっている方もいらっしゃると思います。作業療法などの活動も制限されて、より入院生活にストレスを感じていらっしゃるかもしれません。面会ができないことで不安に思っていらっしゃるご家族も多いことでしょう。
我々医療者にとっても初めての経験で、戸惑うことも多いのですが、困っていること、不安に思っていることは何でも相談しながら、この困難な状況を一緒に乗り越えていければと思っています。

渡邊衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室)
山澤涼子(厚生協会大泉病院)